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ガラス越しにはわからない季節

この写真をみて季節を当てられるひとはどれくらいいるだろうか。

気象に詳しいひとなら雲の様子からある程度は推測できるかもしれない。

でも季節外れの陽気もままあるから絶対の自信を持って言えるひとは少ないだろう。

 

もしこの写真に木々や山々が写っていたらわかりやすかったろう。

木々や山々などの自然はわたしたちに季節の様子を伝えてくれる。でもこうして

人工物と空だけとなると視覚だけでは春なのか夏なのか秋なのか冬なのか

検討もつかない。一目瞭然とはいかないのだ。

 

しかし、ひとたび窓を開けて外気に触れれば今(この写真)がいったいいつの季節

なのかは一瞬でわかる。気温、空気の湿り気、風、匂い、そうした視覚以外の感覚が

今までの経験と照らし合わせて季節を教えてくれるのだ。

 

ぼくはよく窓から外を眺めながらこの季節あてごっこをしている。季節がわかる要素が

少なければ少ないほどそこから得られるヒントをたよりに視覚だけで季節がわからない

ものかよく考えるのだ。そんなことしません?

 

この写真について言えば、残念ながらこの窓ははめ殺しで開かないから答えを書くと、

9月20日の空である。昨今のデジカメはこちらが撮影日など記憶していなくても

EXIF情報として記録しておいてくれるので便利だ。

 

一日曇っていたが夕方になって風が吹き、雲が動きだしてところどころ青空が覗く

ようになった。雲の隙間から一条の光が差したのはほんの一瞬だったように思う。

 

こがねいろに照らされた街なみと空の暗さが生み出すコントラストが美しくて

ぼくはシャッターをきった。