この写真が大のお気に入りです。
どのくらい気に入っているのかというと、パソコンの壁紙に設定しているくらいのお気に入りなのです。それも10年以上も。
この写真は2008年8月29日に撮影されたとEXIF情報に書いてある(EXIFってほんと便利ですね)。撮影したその日から壁紙に設定し、それから10年パソコンは何台も変えてきましたが、壁紙の写真はずっと変わらないままなので、どれくらいぼくがこの写真を気に入っているかご理解いただけるでしょう。
昆虫(ヤマトシジミ)を被写体と見れば、頭や胴体はボケボケだから即座にイマイチの烙印を押されてしまいます。しかし、この状況下でシジミチョウ全体にピンが合っているくらい絞っていたら背景の草が確実にもっとはっきり見えていて、ちょうちょはちゃんと撮れたけど壁紙にするにはうるさい写真になっていました。だから壁紙写真として、この写真は正解なのです。
また、シジミチョウが羽を閉じていたのも高ポイントです。シジミチョウが羽を開けば内側は瑠璃色に輝いていてとても美しいですが、そうなるとこんどは写真に色数が増えてそれもうるさい要因になってしまったでしょう。
この写真を気に入っているもう一つのポイントはカラー写真なのにモノトーンの風合いを感じさせるからなのです。白いシロツメクサの花と、白い蝶、そして背景のグリーン。この色要素の少なさが飽きずに長く使っていられる理由なのだとおもいます。
時は2008年、この写真を撮影したカメラはソニーのα350というデジタル一眼レフでした。
一眼レフなのに、撮影用とは別にライブビュー用にセンサーを搭載するという意欲作でした。コンデジからのステップアップを狙ったのだと思いますが、ライブビュー画質が悪すぎてあまり使い物にはなりませんでした。
センサーは1420万画素のAPS-CサイズのCCD(CMOSじゃないですよ、CCDですよ!)を搭載しています。もちろん動画撮影はまだできませんでした。この時代、動画が撮れるデジイチはキヤノンのEOS 5Dだけでした。
この頃のソニーは、カメラ事業をミノルタから買収したばかりで、ソニーと書いてあるけど中身はミノルタなカメラを売っていましたね。
レンズはミノルタの50mm F2.8 Macroを使っています。AFが死ぬほど遅く、鏡胴もうにょーんと倍くらいに伸びる不格好なレンズでしたが、写りは素晴らしいものがありました。
これをα350につけると、35ミリ換算で75ミリ相当の長さになりました。
75ミリで蝶がこの大きさですから、どれだけ体長1センチほどのシジミチョウくんがおとなしくしていてくれたのかがわかると思います(要するに、すごーく近いということです)。
絞りは開放のF2.8。シャッタースピードは1/1250も出ています。真夏の昼下がりですから当然といえば当然ですね。おかげで手ブレや被写体ブレがありませんでした。
ちなみに場所は隅田川の川沿いです。護岸をコンクリートで固められた隅田川ですが、ところどころに雑草が生えているところがあって、そんな茂みの一つにほとんど寝転んで撮影したのをこれを書きながら思い出しました。