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モニターヘッドフォン MACKIE MC-250

 

昔からヘッドフォンが好きじゃなくて、なぜかと言えば耳が痛くなるのと、耳への圧迫感が不快だからである。ウォークマンはその目新しさが手伝って高校生の頃よく使ったが、結局インナーイヤータイプでも不快であることには変わりなく、次第に使わなくなっていった。

 

 

 

だから音楽を聴くにしても、仕事でモニターするにしてもスピーカーを通して聴くのがぼくにとって当たり前であるし、なにより頭の中で鳴っているヘッドフォンよりも空気を伝って聞こえてくるスピーカーの聞こえ方のほうが自然だと思うのである。

 

 

 

ところが、コロナ禍になってヘッドフォンの使用率が急激に増加した。なぜなら妻がテレワークで自宅にいる時間が増えたからである。狭い我が家で好きな音楽を鳴らしたり、編集中の音を出すと妻の仕事の妨げになってしまう。とくに編集は音をはっきり聴くために音量は大きめになってしまう。そこで埃をかぶっていたヘッドフォンを多用するようになった。

 

 

 

使っていたのはShureSRH240という実売5,000円くらいの安いモニターヘッドフォンである。前述の通りヘッドフォンをほとんど使用しなかったから強い拘りなんてなかったし、SRH240の音が意外と悪くなかったのである。本体が軽いため掛け心地もよかったし、ネットで見かける頭頂部が痛くなるというのも長時間使用しないから全然問題なかった。むしろ5,000円でこのくらい聴ければ文句ないどころか最高とすら思っていたのである。

 

 

 

ところが。使用頻度が上がると頭頂部が痛くなった。これは頭頂部にあたる部分にほとんどパッドが入っていないせいと、湾曲具合が頭の形状にフィットしないせいだろう。音はともかく頭が痛いんじゃあ使うのが辛い。というわけで新しいモニターヘッドフォンを物色することにした。

 

 

 

オープンエアタイプの方が出音が自然になると言われているが、音漏れが一番困るので密閉式から選ぶ。まあ、モニターヘッドフォンを謳う商品は皆密閉式になる。調べていると、よく知るメーカーに混じって聞いたことがないブランドが頻出する。その名をマッキーという。ずいぶん評判が良さそうだ。ぼくが知らないだけで音楽をやっているひとには有名みたい。ぼくが候補にあげたMC-250というモデルは実売一万円くらいだから他メーカーに比べてればかなりリーズナブルである。老舗のSHUREとかAKGとかゼンハイザーとか、日本ならオーディオテクニカとかソニーなんかから選ぼうとすると何万もするし、そうしたよく知るメーカー品を選ぶのもなんだかつまらない選択だ。

 

 

 

それでぼくはMACKIE MC-250を購入した。一聴して音があんまり違うんで驚いた。まず低音がかなり出る。聴き比べるとSRH240は軽い。良く言えば軽やかであるが、解像感でもMC-250の方がよく聴こえる。分離感が全然違う。今まで聞こえなかった音が聞こえてくるようだ。ただし、MC-250の低音はぼくにはちょっと強すぎるように感じる。でもまあこれはいろんな音楽を聴いていく中で変わっていくかもしれない。

 

 

 

装着性を比べるのはやめよう。真新しいMC-250と十年近く使ってだいぶヘタったSRH240を比べるのはフェアじゃない。前に言ったように短時間なら重量が軽いSRH240のほうが掛け心地が良い。MC-250 もすごく重いわけじゃないが比較すればその重厚感が目立つ。それよりもMC-250 の耐久性に期待したい。簡単にヘタってもらっちゃ困るからな。

 

 

 

ケーブルは脱着式でリプレイスが効くタイプ。長く使っていると最初に痛むのがケーブルだから交換できるのはいい。純正品はコネクタ部分にロック機構がついているので交換するならやはり純正品がよさそうだ。でもこの手の製品っていつの間にかディスコンになっていたりするから汎用品が使えるのはかなり安心感が高いと言える。

 

 

 

もともとヘッドフォン嫌いだったから大した比較ができないけれど、MC-250はかなり良いヘッドフォンではないかととりあえず満足です。