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Do not go gentle into that good night.

Do not go gentle into that good night.

Old age should burn and rave at close of day;

Rage, rage against the dying of the light.

 

Though wise men at their end know dark is right,

Because their words had forked no lighting they

Do not go gentle into that good night.

 

Good men, the last wave by, crying how bright

Their frail deeds might have danced in a green bay,

Rage, rage against the dying of the light.

 

Wild men who caught and sang the sun in flight,

And learn, too late, they grieved it on its way,

Do not go gentle into that good night.

 

Grave men, near death, who see with blinding sight

Blind eyes could blaze like meteors and be gay,

Rage, rage against the dying of the light.

 

And you, my father, there on the sad height,

Curse, bless, me now with your fierce tears, I pray.

Do not go gentle into that good night.

 

 

                                                                 Dylan Thomas

 

 

ディラン・トーマスの詩「Do not go gentle into that good night」は、英語圏のひとなら知らないひとはいないほどに有名な詩だそうだ。ぼくがこの詩を知ったのは映画「インターステラー」に登場したからである。

 

インターステラーは2014年に公開されたクリストファー・ノーランによるSF映画である。スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」を目指して作られたであろうこの映画は、残念ながらその域には達しなかった。「2001年宇宙の旅」はアートだが、「インターステラー」は娯楽作品の枠を出ない。それでもなおインターステラーが素晴らしい作品であることに異論はない。

 

5年前の映画を今更どうして思い出したのかわからないが、ここへきて急にどうしようもなくインターステラーが観たくて観たくて仕方なくなった。ツタヤのカードはとっくに期限が切れていた。ネットで調べるとアマゾンで199円で観られることがわかった。昔はプライム会員でなければビデオを観られなかったと思うが、今は単品でレンタルできるようになったようだ。

 

199円ならツタヤでレンタルするよりずっと安いし、なにしろ返しに行く手間がない。画質を心配したがことPCのモニターでみる限りにおいては杞憂だった。遅延も心配したが我が家のネット環境では問題なかった。もう物理メディアをレンタルする時代は終わったのかもしれない。

 

インターステラーはぼくを呼んでいた。5年ぶりに観るこの映画は、それほど内容を忘れたわけではなかったにも関わらず新鮮な気持ちで観ることができた。滅びゆく地球を後にして、人類が居住可能な惑星を探索する旅に出る。その船出に、地球に残る博士からのメッセージがこの「Do not go gentle into that good night」だった。

 

乗組員に向けて語られたこの詩はやがてナレーションに変わり、いまやそれは観客に向かって語られた。ディラン・トーマスは病床の父親に向けてこの詩を作ったと言われている。しかし、その中身は決してパーソナルな範疇にとどまらず、人間一般に対してうたわれている。だからこそ広く認められだれもが知る詩になったのだろう。劇中でもまるで映画のために誂えたかのごとくピッタリとはまっている。

 

訳が気になる方はネットで検索してみてほしい。日本語訳は数多くあってそれぞれに訳者の気持ちが入っている。気に入った訳があればそれでいいが、なければ単語を調べて自分なりの解釈を作ればいい。だがあまり翻訳に気を取られないほうがいい。詩で重要なのは意味よりも音だからだ。

 

宇宙船エンデュランスが出発する。マイケル・ケイン扮するブラント教授によって"朗読"されたこの詩を聞いて、ぼくを呼んでいたのはインターステラーではなく、この詩だったのだと気がついた。