写真はいいものであるというのは写真好きの言である。
世の中には写真が苦手なひとがたくさんいる。そういうひと全てが写真の存在を憎んでいるかというと、そういうわけではないということも多い。アルバムを開いて、昔撮った自分の写真を眺めるのは案外楽しいと感じるひともそれなりにいる。
しかし、いざ写真を撮りますという段になると、どうにもこうにも身構えてしまって引きつり笑いの「本来の自分じゃない自分」を記録に残してしまったりする。本人はこれを負の遺産と受け、そしてどんどん写真が嫌いになっていく。
子どもで写真が嫌いという子も結構多い。よく家族で記念写真を撮りに写真館へ行って大泣きされたという話は子育て世代のあるある話題でもある。大人になって写真に写りたがらないのは個人の勝手だが、子どもの場合、親が写真を残したいという思惑が発生するため、また写真館で大枚を叩く都合もあってかアメとムチ硬軟織り交ぜてネゴシエーションにあたるが、それで成功したという話は寡聞にして聞かない。
子どもの場合、自分の写真写り云々よりも自分の意思とは違う強制される環境を嫌がるのだと思う。親としては自分よりも子どものいい写真を残したいという気持ちが一番だが、当の子どもが乗り気にならなければ水泡と化す。仏頂面や泣き顔を思い出と捉えられる広い心の持ち主ならいいが。
カメラを向けると顔を背ける子も普段は表情豊かなとてもかわいい子であるのは、誰よりも親が一番よく知っている。であるからその輝くような表情を写真に残したいわけであるが、カメラを向けるとその表情が一変してしまう。
そこで、密着家族フォトの登場だ。
ご家庭にフォトグラファーが3時間密着します。まるで忍者のように気配を消して日常を撮影します。間に食事を挟んだり、子どもと一緒に遊んだり、できる限りいつもどおりにしてください。そんな日常風景に限りなく近い状況でご家族を撮影します。