たまたま歩いていていい写真が撮れるということはめったに無い。いい写真を撮るぞという心構えのもとに何枚も写真を撮ってそのうちの一枚でもいい写真が撮れれば上出来である。
ストリートフォトグラフィというのは景色だけが良くでもだめで、そこを行き交う人、光線の具合など様々な要素が上手く噛み合ったときにようやくいい写真になる。
もちろんアングルとコンポジションが決まっているという前提のもとにだ。
丸の内周辺は街全体がひとつにデザインされていて好きなエリアだ。銀座や日本橋に比べればその範囲はずっと狭いが、そこに大人の街が凝縮されている。ぼくがメンターとして慕っていた故Fさんもこのあたり一帯が落ち着いて好きだとよく言っていた。そんな影響もあるのかもしれない。
ぼくはこの写真の先にある三菱一号館美術館の年パスを持っていて、期限が近づいてきたので行ってきたのである。平日の日中に来る客はおばさまばかりであった。のどが渇いたので美術館を出ることにした。この時期にしては夏のように暑い。通りにでればテラスに席を出してビールを飲んでいる外国人観光客の姿がちらほら見えた。薄曇りでコントラストが低い。そこで建物にコントラストを求めた。夕日のさす時間に来たらまた綺麗だろうな。