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光が見え方を変える

光線の具合によって見え方は異なる。だからブツ撮りをするにしてもどのような印象の写真を撮りたいのか最初に決めておかないと、毎回通り一遍の写真ばかりになってしまう。一貫性という意味ではそれもありだが、たくさん引き出しがある中でわかっていてやっているのと、それしかできないのとでは意味合いが違う。

 

Consistencyというのはフォトグラファーにとって最も重要な概念であるが、そこにコントロールがあるのかないのかではまったく異なるということだ。

 

好きな時計を撮るにしても、ふわっと表現したいのかカッチリ撮りたいのか最初に決めておく。

 

ふんわり明るく撮影した。金の針とインデックスの反射が際立つ。時計のベゼルも全体が明るく白さが強調されて軽やかな印象を与えると思う。アンティークウォッチなので新品のようなミラー反射は望めないが、細かいキズが光を拡散してアンティークらしい写り具合と感じる。

竜頭側のベゼルに紙の質感が映っている。気になるひとはつるつるの紙を用意するといいだろう。ちなみにこれはA4コピー用紙1枚である。

 

こんどはかっちりと撮ってみた。上の写真と同じ時計だが印象がまるで異なる。こちらのほうがコントラストが高くメリハリが効いた写真になっている。

本当は同ポジで撮っていたのだがうっかり触ってしまってずれてしまったのはご愛嬌。昔の現場だったらえらいことである。

ふんわり写真と比べるとこちらのほうが重厚感があり時計も高そうに見える。なので箔をつけたかったらこっちの雰囲気で撮るといいだろう。

 

こうして光を変えて撮影していると写真というのはまさに光(と影)を撮るものなのだなと改めて感じずにはいられない。