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雪の翌日

雪は嫌いである。

正確に言うと雪の翌日が嫌いである。

 

薄く凍った路面はつるつるに滑るし、舎利舎利になった雪が泥や埃を巻き込んで

茶色くうす汚く路肩に積もっているのを見ると、昨日の沙羅沙羅の粉雪の無垢さは

一体どこへ行ったのだろうあれは幻だったのだろうと思う。

 

快晴の空から振り下ろす太陽の光が当たるところは瞬く間に乾燥するが、

光の届かないところはいつまでも凍りついたまま何日も何日も残っている。

 

気温が低いところに氷が残るから地面の気温は上がらなくて、底冷え。

直射の差し込まない窓の側に枯れ枝をさした花瓶を置いて撮影した。

もちろんただの枯れ枝ではない。たましいを宿した枯れ枝である。

葉はとっくに加羅加羅に乾いているけれども落ちることなくただその形を縮こませている。

 

萎んでいく枝ぶりとは反対に生命の力強さを増々見せつけるのが卵鞘とか卵嚢とか呼ばれるもので、

この中に二百近いいのちを抱えている。

 

油絵のような写真がテーマである。画家はまるで写真のような静物画を描くが、ぼくは反対に

絵画のような写真を撮ってみたい。どうだろう、そんなふうに見えるだろうか。

 

雪の翌日は快晴になって、だけど光が届かない窓辺だから感度は1600だ。

三脚を立てるスペースがないから手持ちで撮影となる。変な角度でカメラを持つから手ブレをしない1/125。

感度をこれ以上上げたくないからF2.8で。できればもう少し絞りたかったところであるが、花瓶のピンの甘い

感じが絵画っぽさを演出している。

 

レンズはLoxia35。このレンズは本当に良い。