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おにぎり山

キンリンと冷えた空気が近隣を支配する。

じっとしていると寒くてどうしようもないが、動いているとわりかし寒さが和らぐ。多分気温二度。

皿はキンキンに冷えていて、食べ物を乗せた瞬間から近々に冷たくなっていく。

東の方角から斜めに差し込んでいるのは朝日で、朝日と書くと朝日新聞と勝手に脳内変換されてしまうこの煩わしさ。

アサヒと書けばビールで、ええいままよと英語で言ったらガンダムだった。ぼくはただ普通の朝日と書きたいだけなのに

一体どうしたらいいんだい?

 

おにぎりを握って写真を撮ろうとテーブルに置いたらおにぎり山ができた。実物以上に鋭利で急峻で立派な峰が聳えた。

息子が影はどうしてついてくるのと聞いた。逃げても逃げてもついてくる。ああ鬱陶しい。離れろ。夜になると街灯が灯って

色々な角度から影ができるからそれが煩くって仕方がないらしい。

それでぼくは言った。キミはピーターパンか。えどうして、と聞くのでだってほらピーターパンは影が自由に動いていたろ

忘れちゃったのかいと言ったら、覚えてるよと口を尖らせた。影がついてこなくって困るからウェンディが縫い合わせたんだ。

だから影はついてきていいんだよ、と言ったけども息子の興味はすでにほかに移っていた。

 

おにぎりだった。ただそのまま白米を食べるよりもおにぎりにするとその何倍も美味い。塩が米の甘みを引き立てる。

海苔と米は最強のコンビネーションだ。パンやうどんその他の炭水化物と海苔は合わなくもないけれども最強とはほど遠い。

ところが米と海苔は最強以外に言葉がない。それもそのはず前世は米が海苔で海苔が米だったと聞いた。