たまにいく原っぱがある。ただの原っぱではない。きちんと人間によって管理された原っぱで、
ゆくゆくは雑木林再生を目指している原っぱである。今の所生えているのは草ばかりで、大木に
なりそうな木は一本もないが、きっとどこからか植樹するつもりなのだろう。
その原っぱへ行ってみたら大規模に剪定が行われていた。冬のうちに枝や葉を落として春に備えるためである。
それでも夏になれば草ぼーぼーになるのだから、これでもし剪定を行わなかったらただの藪になってしまう。
だから剪定は正しいのである。一度人間が手を入れたら一生手を入れ続けなければいけない。共生とは自然を
ただあるがまま受け入れることではない。
原っぱに足を踏み込むと、切り落とされた枝があちこちに落ちている。原っぱの中央には小型のショベルカーまで
置いてあってまだ剪定が終わっていないのだ。
ちょっと待て息子よ。とぼくは言った。
この落ちた枝にもしカマキリの卵がついていたらどうなると思う。そうだ。
凍ってしまうだろう。腐ってしまうだろう。死んでしまうだろう。
だから落ちた枝に卵がついていないかどうか、くまなく探してみようではないか。
それで地面に目を凝らして探してみたら、卵がついたままの枝がたくさんあるではないか。
これはいけない。このままではいけない。みんな救出だ。一つ残らず救い出せ!
というわけでオオカマキリの卵一つと、ハラビロカマキリの卵たくさんを枝ごと拾い集めて
持ち帰ったのである。春になったら小さなカマキリたちがたあくさん出てくるのである。
うまくいけばその瞬間に立ち会えるだろう。そうしたら写真に収めたいものである。
春が待ち遠しいのは人も昆虫も同じだ。