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オールドデジカメ思い出話 番外編 Fujifilm TIARA II

フィルムカメラは高校生のときに買ったキヤノンEOS100QD(QDはクオーツデイト。昔はこんなことでさえ型番に入れるほど売りの機能だった)をずっと使っていた。なんどか修理にだして使い続けていたが、いよいよだめになったので興味本位でバラバラに分解してしまってもうない。

手元に残っているのはFujifilmのTIARA IIというコンパクトカメラである。ぼくはなにかと富士フイルムが好きらしい。TIARA IIは小さくて(といっても今みるとずんぐりしているが)シンプルでありながら洗練されたデザインが気に入って買ったのである。ネーミング的に女性をターゲットにしているのはわかっていたが、それは名前だけでカメラ自体はそれほどフェミニンな香りはしない。

レンズバリアをスライドして開けると電源ONになり、閉じるとOFFになる。レンズは28mm単焦点である。開放F値はF3.5。35mmフルフレームなのにレンズが小さすぎて今みるとなんだかおかしいがこれで当時は普通だった。

正直いうと、このカメラをあんまり使った記憶がない。時代はすでにデジカメが始まっていたからである。ただデジカメはまだまだおもちゃの域で、なにかあったときのためにちゃんとしたフィルムカメラも持っておこうと買ったのであるが結局ほとんど使わなかったのではないかと思う。思うというのは覚えていないからである。

ただ形は好きだったし、小さいので保管しておいても邪魔にならないから取っておいたのである。ちなみに箱も説明書もない。電池はとっくに切れていて動くかどうかもわからない。メルカリを見たら結構な値段で取引きされていて驚いた。フィルムカメラ人気の再燃らしいが、写りはあまり期待しないほうがいいです。まあその性能の低さが魅力なのかもしれないが。

 

昔のカメラの欠点はAFの甘さである。レンズ自体は現代と遜色ないレベルで高性能だが、いかんせんオートフォーカスの精度が低い。マニュアルで操作できるのならよいが、この手のコンパクトカメラはAFしかないからいきおいピントの甘い写真を連発することになる。AFの測距点もセンターしかないから、センターでフォーカスをロックしてフレーミングする必要がある。しかしパララックスのある小さなファインダーできっちりAFを追い込むことは不可能だ。

ぼくはフィルムカメラにノスタルジーを感じなければ愛着もない。デジカメがでてすぐに飛びついたほどにデジカメに魅了されてしまった。写真屋さんに出す必要がない。撮ったらすぐ見られる。何百枚も撮れる。パソコンと親和性がよい。カメラの未来がここにあると思ったものである。そしてそれは今現実になった。デジカメの性能は完全にフィルムカメラを抜き去った。高画質であるだけでなく、カメラとしての性能も格段に上になった。

かつてフィルムカメラで操作できるパラメータはシャッタースピードと絞り値の二つだけだった。ISO感度はフィルム固有の属性だったからである。ところがデジタルになって、このISO感度も自在に操れるようになった。これがどんなにすごいことか。

TIARA IIはなかなか絵になるカメラである。オブジェとしてかわいいカメラである。